No Way To Say 27

溺れる恋のその果てに

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「まあ、細かいことはこいつから聞けや」


そう言うと、袋から何かを取り出した。中から出てきたのは、数着の着物だった。
幽助は無造作に、飛影にそれを投げた。

「これがおまけ...お宝さんの服」
「えっ!?」
白い手をぎゅっと握り、幽助は蔵馬に近付いた。


「蔵馬って言ったっけ?当分は困らないだろ?」
ぶんぶん蔵馬の手を振ると、幽助は立
ち上がった。


「んじゃ、俺は行くわ。別嬪さん、皇子に見つからないよ
うにしろよ」
幽助は軽い笑い声とともに、去っていった。
その手首の包帯に、飛影は一瞬顔を背けた。飛影の頬に、冷たいものが触れた。





「...本当に?」
目の前にいる飛影は幻で、そんな気がして、怖い。伸ばす手を、飛影がぐっと握った。


「動くな―」
細さを増した痛々しさに、一瞬目を逸らした
「...似合わないからだ」
短い、飛影の言葉だった。
「お前にも、俺にも」
肩を抱く飛影の腕に力が込もる。


「俺も、同じだからだ」
頤を取ると、蔵馬は深い瞳を転がした。


「あそこは、生まれた場所でもない」
ブチッ...胸元の腕章を外す男が聞こえた。シュっ!...そばにあった灯りに
投げ込まれたものは、一瞬にして消えた。

皇族のしるし。それは、火に包まれた。


「これで、いい」
蔵馬の髪はいつも、絵姿のように、たおやかだ。
お宝を手に入れるために、飛影が仕組んだ...あの盗賊騒ぎを...夢じゃない。

飛影の広い胸は温かかった。


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飛影はぽつりぽつりと話をした。

本当の皇族ではないこと。幽助とは幼なじみで、同じ村で
育ったこと。母親は幼い頃になくしていること。

飛影は数年前までずっと幽助と同じ村にいたこと。

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