No Way To Say6

モクジ


蔵馬は、飛影の腕で、何度も名を呼んだ。震える肩は、小さかった。


「来るとは思わなくて…」
強い腕が、蔵馬の肩を抱く。蔵馬を、抱きしめてくれる腕は、本物だ。
縋る温もりを、抱きしめた。


「…ぁ…」
肌を伝う手に、声を上げる。飛影の指が蔵馬の胸を滑る。


「…っ…」
飛影の指が、蔵馬の肌を伝い降りる、その感覚に蔵馬が目を閉じる。

長いまつげを揺らす。顔を横に倒した蔵馬は、
頬を上気させた。耳元で飛影の声が聞こえた。


…あつい…
飛影の声が、熱い。いつもと違う…。


耳元の声は、甘さを伴っていた。
「…蔵馬」
「…好きです」
飛影は、蔵馬の頤をとった。腕の中のからだは、軽かった。

いいのか、と短く聞いたのは飛影だった。
泣き顔のままで、頷いたのは蔵馬だった。


蔵馬の声は、甘かった。蔵馬より大きな指が、肌を滑る感覚に、息を殺す。
衣をすべて落とされ、体がこわばった。
「…蔵馬」


指先が、飛影の熱さのまま、胸を這う。
「ひ、えい」


蔵馬が、潤んだ目で飛影を見つめた。歩くさせるのは、飛影の熱だった。
指が伝うその感覚が、蔵馬を追い立てる。息が上がる。

「…ぁ…や…」
ゆっくりと伝う指は、強引さは伴っていなかった。耳元に、熱く飛影の息を感じる。
名を呼ばれる度に、鼓動が早くなる。

飛影の舌は、熱さを持ち、蔵馬のからだの線をなぞる。

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「…っ…」
胸のものを弄る飛影の手の感触…じれたような衝動を感じる。
胸の突起を転がすと、腰が浮いた。細い指がしなる。


呟きのような声が漏れた。胸のそれが、つんと起ち上がったのが解る。
飛影が、舌でそれをなぞり、口に含む。


「…あぁ…」
蔵馬は、上ずった声を出した。
自分にのしかかる飛影のからだが、熱い。と、蔵馬は一気に目を見開いた。
足が大きく開かれたのだ。


「ひえい…!」
蔵馬は慌てて足を閉じようとした。しかし、ぐいと飛影が力を入れて、それを許さない。
そして、そのまま足の付け根に口を落とす。
「…あ…!」
足の中心に広がる刺激の甘さに、蔵馬の手が宙をさまよう。
飛影の青い瞳が、チラッとそれを見る。床にある蔵馬の指
は、青くなっていた。
飛影は蔵馬の頤を取った。


「ん…!」
飛影の青い瞳は、燃えるようだった。蔵馬の力が抜ける。飛
影はそれを見逃さなかった。
「…っ…」
飛影は、ぐい、と数本指を入れ込んだ。
「んぅ!」
自分とは違う指が、内部をかき混ぜ、膝から力が抜けた。
「ぁ…」
中を、飛影の無骨な指が意地悪く、強く動き出す。蔵馬のこぼす唾液が、
艶めいて反射した。
逃げようとする蔵馬を、熱く燃えている飛影の指が許さない。

少しずつ飛影の指が濡れてきて、細い目が顰められる。
「蔵馬…」
蔵馬を、飛影は抑えた。飛影は、一気に指を抜くと、それを舐めとり、
蔵馬の足を抱えた。
「――!」
膝がガクガクする。蔵馬の瞳が、焦点を失った。ぐい、と腰を進めると、
白い指が、天井に向かって彷徨う。


「蔵馬…」
唇を重ねる。
蔵馬から少しずつ濡れだす液体が、飛影を心地よくする。
「あ…んぅ…」
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-蔵馬は、突き上げられる刺激に、ただ翻弄される。
「はっ…あぁ!」
一気に押し入った飛影の唇に、唇を重ね、小さく蔵馬は言
った。
「好きです…」


モクジ
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