白い吐息はささやきのそばに2





「…ま、おい」

そっと頬を撫でる手に、ふわふわと意識が浮かび上がる。
窓の外から、小鳥の声が聞こえた。

「んっ……」
ベッドの中で、蔵馬はゆっくりと動いた。覚えのある声…ぼんやりと意識が浮かび上がる。
この声…あの人の声……なんで……。

「おい」
ぎゅ、と蔵馬の肩に触れる感触。これは。

「飛影……?」
夢だ。そう思った。人間界までこんな、突然に現れるなんて。

朝のまどろみの中で、蔵馬が瞳を開ける。



「これで信じるか」

ふっと、重なったもの、唇だった。
ハッと、蔵馬が瞳を開けた。

「飛影…!!?」

呆れたように、飛影はベッドの上で蔵馬を見つめた。
「夢の中じゃ、ないからな」
抱きしめるように伸ばされた腕の中に、蔵馬は飛び込んだ。

「来て、くれたんだ……」
ぎゅっとしがみつく蔵馬の髪を、飛影は緩く撫でた。

「俺だって、お前に会いたいと思っている」
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