indispensable pride of3
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特別室では、いつもは暖かく見つめているそに瞳を閉じて、その人が眠っていた。
あの強く抱きしめて腕も、今は力なくベッドの上で管に繋がれているだけだ。
震えを抑えきれず、蔵馬がそろそろとベッドに指を伸ばす。
「なぜ…毒矢を」
責めるでもなく、追いすがるわけでもない、口を突いた衝動が蔵馬から漏れた。
「トワイズムという毒矢を知っているか」
傍に立ち、躯が駆け寄った蔵馬に告げた。
「…知って、います」
青白い飛影のその頬に触れ、蔵馬が躯を振り返った。
渋い顔をして、躯が蔵馬の前にしゃがみ込んだ。
「…采配ミスだ。こうなるとは思わなかった」
「…それよりも…今は」
「熱がつづいて意識が戻らない、昔から在る毒矢だと聞いた」
躯から視線を外し、蔵馬が飛影を見つめた。強い力で自分を射貫いた瞳が
今は閉じられている。
血の通わないような色の頬が、冷たく映る。
「蔵馬」
躯が、小さく声を掛けた。僅かな沈黙が、二人の間に流れた。
蔵馬が、はあはあと息をする飛影と躯を交互に見つめた。
そこの映るのは戸惑か、悲しみか分からないくすんだ瞳で。
「…やって…みます」
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